従来の磁気モーメント法

磁気モーメント法は物体を立体要素で分割し、要素の個々の磁気モーメントに変数を与えて解く手法です。

<計算手法>
(1) コイルと複数の小さな磁性体があるとします。
(2) コイルに電流が流れると各磁性体が磁化します。
(3) 各磁性体は磁場を発生し、他の磁性体をさらに磁化します。
(4) この磁性体の相互作用を連立方程式で解くと磁性体の磁化が決まります。
(5) 磁化が分かれば任意の場所の磁場が計算できます。

磁気モーメント法
「磁気モーメント法」によるコイルと磁性体が作る磁場の計算。(計算時間1秒以下)
6個の磁性体の周りのリング状のコイルに電流を流し、
磁性体の磁気モーメントと空間磁場を計算しました。

エルフによる改良

しかし「磁気モーメント法」では要素内での磁気モーメントが一定としているので、磁気モーメントが柔軟に曲がれず直進性が強くなってしまい、正しく計算できないケースが発生します。

詳しく説明しますと、

隣同士接している2要素間の面では分極磁荷が相殺しながら繋がっていくので、面の両側の磁気モーメントが同じになり易くなります。
要素の磁気モーメントが一定だとすると、さらに隣の要素の磁気モーメントも同じになり易くなります。

そのため磁気モーメントが直進し易くなり、例えば、別の場所をループして戻ってくるような おかしな結果が得られてしまう事があります。(ルーピングパターン)

磁気モーメント法と積分要素法
左が「磁気モーメント法」、右が エルフの解析手法 (分極磁荷要素)です。
下にある緑色の要素が磁石で、その他の紫色の要素が磁性体です。

下にある1個の磁石要素から送られた磁束が、磁気モーメント法では直進しループを描いてしまいます。
エルフの手法では磁束が右方向にも分岐して正しく解けています。

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