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ELF/MAGIC 電磁界解析/電磁場解析

有限要素法はポテンシャルを変数としています。
したがって磁石やコイルなどの物体だけでなく、
解析対象の空間全域に要素が必要です。

一方、ELF/MAGICは磁荷などのソースを変数としています。
したがってソースが存在している物体のみの要素で解析できます。
空間にはソースがないので要素は不要です。

ELF/MAGICでは解析領域は無限遠までを含んでいます。
したがって境界条件を指定する必要がありません。

ELF/MAGICでは要素の積分は複数の点での数値積分ではなく、
要素表面の解析式を使っています。
したがって面の近くまで精度の高い計算ができます。

有限要素法では空間磁場の計算は、空間メッシュのポテンシャルから計算するので精度が落ちますが、ELF/MAGICでは磁場をソースから直接計算するので精度が落ちません。

マクスウェル応力を高精度の空間磁場から計算するので高精度です。

磁場は物体の外部で急激に小さくなっていきます。
そのためポテンシャルは物体の外部で複雑な変化をします。

有限要素法で使用するポテンシャルは、物体外部で大きく変化します。
したがって空間部は物体内部よりも細かな要素分割が必要です。
さらに、3次元の磁場は3方向に広がるので2次元の磁場よりも急激に変化しますから、
3次元解析は2次元解析よりも細かな要素分割が必要です。

一方、ELF/MAGICで使用するソースは、物体の内部や表面にのみ存在し、
物体の外部には存在しません。
たとえポテンシャルが複雑に変化する場所であっても、そこにソースが存在しなければ
要素そのものが不要です。

また、要素を必要とする物体内や表面でのソースの変化は緩やかです。
したがってELF/MAGICでは一般に有限要素法ほど細かな要素分割を必要としません。

有限要素法は2次元計算は高速ですが、3次元計算は時間がかかります。
その理由は
・2次元ではポテンシャルは1自由度ですが3次元では3自由度です。
・空間部も含めて要素数が奥行き方向に増えます。
・マトリックスのバンド幅が増えます。
・2次元解析より細かい要素分割が必要です。

ELF/MAGICでは変数は増えますが、もともと少ない要素で解けます。

ELF/MAGICでは空間メッシュが必要ありません。
したがって、部品の相互の位置が変化しても、
空間メッシュがねじれたりつぶれたりすることがありません。

ELF/MAGICでは空間メッシュが必要ありません。
したがって、任意の形状のコイルと電流方向を自由に指定することができます。
コイル内の磁場の変化を考える必要が無いので細かなメッシュにする必要がありません。

解析の種類

時間的に変化をしない磁場を解析します。
渦電流や誘導電流は計算しません。
磁性体のB-H曲線(非線形)が扱えます。

電流が変化する場合や物体が運動する場合の計算をします。
渦電流や誘導電流を計算します。
磁性体のB-H曲線(非線形)が扱えます。
空間メッシュがないため自由な運動が扱えます。

正弦波応答解析をします。
渦電流や誘導電流を計算します。
入力電流、磁化、渦電流が正弦波状に変化する場合を複素数を使って計算します。
複素透磁率を入力して短時間でインダクタンスの計算をすることもできます。

モデルの種類

3次元形状の物体の磁場解析をします。
3次元形状のソースが作る磁場の解析積分式を使って計算します。
ELF/MAGICの基本的な解析です。

Z方向に無限に長い形状の物体の磁場解析をします。
XY平面に物体の断面を定義することにより、
Z方向に無限に長いソースが作る磁場を解析積分式を使って計算します。

円柱、円筒など、軸対称形状の物体で軸対称磁場の場合に利用できます。
XZ平面に物体の断面を定義することにより、
軸対称形状のソースを配置して解析します。

要素の種類

ELF独自の解析手法により、要素内で磁化が一定の要素では表せない複雑な磁化分布が表現できます。
またB-H曲線(非線形)に対応していますので、磁気飽和の問題も扱えます。

2013年に計算手法を大幅に改良しました。

形状によって磁極が決まる要素と、磁極の向きを指定できる要素があります。
B-H曲線(非線形)に対応してるので、外部磁場による磁石への影響も考慮できます。
磁石間に働く引力や斥力は、磁石が接するまで精度よく計算できます。
低温減磁、高温減磁の計算ができます。

コイルなどは電流要素を用いて立体要素として六面体、三角柱などで表します。
線分要素を用いて電線一本一本を表すこともできます。
また、平面要素としては四角形、三角形などがあります。
いずれの要素も線分電流群に変換され、ビオサバールの法則により解析積分式を用い計算されます。

渦電流を計算するための導体要素が用意されています。
導体要素には、磁性を考慮できる磁性導体要素もあります。

2003年に計算手法を大幅に改良しました。

磁性体の曲面形状を細かく表現できる要素です。
磁性体の一部が曲面の場合、その部分にポリ要素を使い、他の部分は六面体要素などで分割すると、要素数を極端に増やさずに精度のよい解析ができます。
中空ではなく中実の球体をモデリングする場合に便利です。

計算条件

折れ線か、式のパラメータで入力します。
ライブラリーを持っています。

磁性体は原点から曲線を入力します。
磁石はBH曲線の第3象限、第2象限、第1象限を入力します。

BH曲線が非線形の場合はニュートンラフソン法と反復修正法で計算します。
S字形のBH曲線や折れ線が粗くても収束します。

渦電流を計算するためには導体の体積抵抗率を指定します。
磁性導体の場合にはBH曲線も与えます。

コイルに流れる電流を直接入力した場合、コイルの電気抵抗は必要ありません。
コイルの断面を流れる電流値を入力します。
誘起電圧の影響は無視されますので静磁場の解析に有用です。

動磁場解析において誘起電圧の影響を考慮する場合には、
コイルにかかる駆動電圧を入力します。
入力した駆動電圧と鎖交磁束の変化による誘起電圧でコイルにかかる電圧が決まり、
電気抵抗から電流が計算されます。この電流により鎖交磁束の変化などが計算されます。

モデルと磁極の対称性を指定します。
対称条件、反対称条件、周期対称条件があります。

境界条件ではありません。
要素数を減らせます。

透磁率の倍率(比率)を入力します。
方向によって透磁率を変えることができ、異方性を表せます。

積層板の占積率を入力することにより、方向によって透磁率が変わります。
積層板を一種の異方性の磁性体として扱うことで実現しています。

空気ギャップを含む重なった電磁鋼板を1つの要素で表せます。
変数が増えるのを防ぎます。

出力結果

各要素の磁束密度の平均値がベクトル値として得られます。

座標を入力した空間点の磁場が計算されます。
高精度のソースから直接計算するので高精度です。

空間点でのベクトルポテンシャルを元に、2次元解析要素については磁束線図を、
軸対称解析要素については擬似的な磁束線図を描画します。

空間磁場からマクスウェル応力を使って計算します。
高精度の空間磁場から計算するので高精度です。

コギングトルクが精度良く計算できます。
スキューがある場合のコギングトルクも精度良く計算できます。

各要素の頂点の電流密度がベクトル値として得られます。
要素ごとのジュール熱が体積抵抗率と電流密度から得られます。

ストークスの定理によって計算します。
空間に磁束を計算するメッシュを作る必要はありません。

渦巻き型コイルや8の字型コイルなどの鎖交磁束も計算できます。
磁性体や渦電流がある場合も計算できます。

コイルの鎖交磁束から計算します。

誘導電流を変数として扱います。
コイルの鎖交磁束と関連付けます。

高速化

ELFシリーズは高度にベクトル化と並列化をしてあります。
そのため、マルチコアで計算すると、ほぼ全ての部分で高速化されます。

使用パソコンの CPU Xeon 16コア

並列化数168421
マトリックス組み立て時間(速度比)4.03.32.51.61.0
マトリックスソルバー時間(速度比)10.06.53.61.91.0
空間磁場計算時間(速度比)11.06.53.61.91.0

ELFシリーズ4.90を使用した場合の例
CPU 10980XE 18コアのPCで解いた時間です。
15,000元(1.7GB)の密行列マトリックス 4秒
30,000元(6.7GB)の密行列マトリックス 25秒
60,000元(26.8GB)の密行列マトリックス 173秒
120,000元(107.2GB)の密行列マトリックス 23分(予想)
180,000元(241.2GB)の密行列マトリックス 78分(予想)

応用分野

・電子顕微鏡
・センサー
・磁石製品
・磁気シールド
・リニアモーター
・モーター
・リレー
・プランジャー
・トランス
・スパッタリング
・電子線ホログラフィー
・加速器
・MEMS
・磁気ヘッド

これら以外の多くの分野でもELF/MAGICは活用されています。

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